2012年4月14日土曜日

違法ダウンロードに罰則を科す著作権法改正、3党が大筋合意

 本日(4月14日(土))の日経新聞朝刊の1面に、「違法ダウンロードに罰則 民自公合意 著作権保護を強化」という見出しの記事が掲載されておりました。

1.
 その記事によりますと、
「民主、自民、公明の3党は13日、違法にインターネットに配信されていると知っているのに音楽や映像などをダウンロードした場合に罰則を科す方針で大筋合意した。著作権保護の強化が狙い。政府が3月に国会に提出した著作権法改正案には盛り込んでいなかったが、3党で罰則を明記した同法案の修正案を近く議員立法で提出する。今国会で成立する見通し。」とあります。

 現在著作権改正案が国会提出され審議中のところに、議員立法ですか・・・。こういう事態は珍しいのではないかと思いますが・・・。

2.
 同新聞の4面には、より詳細な解説記事があり、そこには、
「日本では2010年1月に、海賊版など違法なコンテンツを提供するサイトと知りつつ、そこから音楽や映像などをダウンロードすることを違法とする改正著作権法が施行された。ただ文化庁は当時、『個人による違法ダウンロードは犯罪としては軽微』との理由で罰則導入は見送っていた。」
とあります。

 上記の規定は、現行著作権法の以下の規定ですね。
[著作権法30条]
1項
 著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 (略)
二 (略)
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
2項 (略)

 上記の1項3号が、平成21年の著作権法改正で追加され、同改正法は2010年1月1日から施行されています。
 いわゆる「違法ダウンロード」が、平成21年著作権法改正により、著作権法30条の私的使用複製の対象から除外された訳ですね。
 もっとも、同改正で全ての違法ダウンロードが違法とされた訳ではなく、上記の条文からもわかりますとおり、違法にアップロードされたコンテンツであることを「知りながら」行うダウンロードのみが違法とされています。

 このように一定のダウンロードが平成21年の著作権法改正で違法(民事上の問題)とされることになりましたが、他方、上記引用記事にありますとおり、同改正において、そうしたダウンロードは刑事罰の対象とはされませんでした(著作権法119条1項参照)。

3.
 このように、現行の著作権法上は、一定の違法ダウンロード(違法にアップロードされたコンテンツであることを知りながら行うダウンロード)について民事上は違法とするものの刑事罰は科していなかったのですが、これを、今後は刑事罰も科すことにする、というのが今回の3党大筋合意の内容になります。

 日経の記事(1面)には、
「修正案によると、違法なダウンロードに対し、『2年以下の懲役または200万円以下の罰金』を科す。被害者の告訴がないと起訴できない親告罪とした。10月1日に施行する予定。」
とあります。
 施行の予定日まで決まっているんですね・・・。

4.
 今回の3党大筋合意に関しては、ネット上は、反対意見や議論が拙速すぎるという意見が多いようです。
 確かに、違法ダウンロードが刑罰の対象になるとなると、処罰の対象が一般人に非常に広く及び、世の中への影響は大きいですので、この点は国会でより慎重な議論を尽くすことが必要なのではないか、という気はいたしますね。

 それでは、本日は簡単ですがこんなところで・・・。 

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